世紀末の歌7

愛するコッペパン


自己暗示だよ。
所詮人間は弱いもんだからね。


大勢の中に囲まれ、尚2人であるということ。
そのとき、相手が先に死に行くとき、後を追うことも、
心の中に留めて生きるということも愛とは呼ばない。
真実の愛とは、相手の死を認知しないということだ。
なぜなら、それが唯一のものであるから、認めることは
心が壊れるということだ。


あのパン屋はそうではなかった。
認めて、苦しんでいた。
奥さんの真実の愛を受け止めようと必死であっただけだ。
ノア、おれのおふくろは親父の死を認知したとき、気が触れたよ。


パン屋の愛は偽物だというのですか。


そうだ。


違う!愛はもっとやさしいはずだ!
あんたのいう愛がいかれてるんだ!気が触れるのが愛だなんて!
愛とは努力することなんだ…先に死んだ人間はなんの努力もないじゃないか。
ぼくは思う。
愛とは…ほんとうに相手を愛するならば、生きることなんだ。
生きて生きて愛する人を看取り、独り残される悲しみを受けることなんだ!
愛とは生きることなんだ!!!


ハローベイビー
優しさって
無限に続く愚かなほどの優しさって
いつかは愛にたどり着くかな