世紀末の詩4

星の王子様


父さん、ぼくはこの暮らしがとっても好きなんだよ。
父さん、負け惜しみじゃなくってね、ぼくは愛って貧しさの中にあると思うんだ。
世の中はものがどんどん豊かになっていって、こうやってひとつのものを
分け与え合う機会が少なすぎるんだ。それこそがほんとうの愛なんだよ。


サービスだぞ…
同情はするがな…お前たちは価値観の基準が無い時代に育ってる。
貞操も無い、飢えも無い、そこにあるのは気怠い平和だ。
無限に続きそうな退屈。お前たちの正体は退屈という名のバーチャルだ。
しかし…悪くもない世界だ。気怠く眠い世界ってやつはな。
だが苛立ちはある。無限に続きそうな退屈。ほんとうに無限なのだろうか。
どこかでそうも思ってはいない。ときどき不安が訪れる。
バーチャルなゲームの世界。電源を誰かに切られたら。
ソフトが使いものにならないときが来たら。
辛いリアリティの世界が始まらないか。
そのあらぶる魂の不安が、怒りに向かう。
やめておけ。
その刃先はいずれ自分へ向かうぞ。
お前と言う存在自体がリアリティを無くしてな。


ノア…
愛とは、時の流れに関連があるんだろう…
同じ時を長く過ごし、互いに呼吸をし、それが互いの肉体の細胞に加わる。
だから、引き離されるとき、血のにじむような肉体の痛みをも伴うだろう。


…愛とは、息をすること。


ハローベイビー
もし僕に会いたいのなら
僕も君に会いたいのさ
きっときっと会いたいのさ