なぜ人を殺してはいけないのか?

なぜ人を殺してはいけないのか? (河出文庫)

なぜ人を殺してはいけないのか? (河出文庫)


読了。


彼女はこの本を読むおれを「だ、だいじょうぶなん?」と心配してた。
別におれは人を殺したいから読んでるわけじゃないし、殺人欲を抑え込むために
読んでいるわけでもない。


そこにあるのは単なる好奇心と純粋な疑問。
ただそれだけ。


殺されたくないから、殺さない。
その社会契約のもとに世の中は成立している。
そしてその契約を破れば、法律に罰せられる。
死刑を覚悟すれば、人は何だって出来る。
それが社会契約の限界だ。


状況の力は計り知れないって言うよね。
人を殺すなんて考えられないような人が、状況に依っては殺してしまうかもしれない。
でも誰もがおれはそうじゃない、どんな状況に置かれても殺さないんだと自分を信じるように、
おれだって自分の理性を信じている。


信じてはいるけども、死刑を覚悟すればおれはいつでもぶっ殺せるんだぜ、と
認識して生きる人生と、そうではない人生とはやっぱり違うんやと思う。
その違いにおれは惹かれるんやね。


世界の限界を知って、おれはいつでもその限界を超えて自由になれるのだ。
そう認識しながら、不自由な世界を生きる。
それによって人生にどんな利益があるのかは解らんけども、
なんとなくおれはそうやって生きて行きたいと、そう思う。