なぜ人を殺してはいけないのか?
- 作者: 小泉義之,永井均
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2010/01/06
- メディア: 文庫
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読了。
彼女はこの本を読むおれを「だ、だいじょうぶなん?」と心配してた。
別におれは人を殺したいから読んでるわけじゃないし、殺人欲を抑え込むために
読んでいるわけでもない。
そこにあるのは単なる好奇心と純粋な疑問。
ただそれだけ。
殺されたくないから、殺さない。
その社会契約のもとに世の中は成立している。
そしてその契約を破れば、法律に罰せられる。
死刑を覚悟すれば、人は何だって出来る。
それが社会契約の限界だ。
状況の力は計り知れないって言うよね。
人を殺すなんて考えられないような人が、状況に依っては殺してしまうかもしれない。
でも誰もがおれはそうじゃない、どんな状況に置かれても殺さないんだと自分を信じるように、
おれだって自分の理性を信じている。
信じてはいるけども、死刑を覚悟すればおれはいつでもぶっ殺せるんだぜ、と
認識して生きる人生と、そうではない人生とはやっぱり違うんやと思う。
その違いにおれは惹かれるんやね。
世界の限界を知って、おれはいつでもその限界を超えて自由になれるのだ。
そう認識しながら、不自由な世界を生きる。
それによって人生にどんな利益があるのかは解らんけども、
なんとなくおれはそうやって生きて行きたいと、そう思う。